1940年6月22日テヘラン生まれ。父親はペンキ屋だった。本人曰く、子供の頃、学校の成績はあまり優秀ではなく、孤独を好んだという。小さい頃から、デッサンに興味を持ち、テヘラン大学美術学部に入学。家族に経済的負担をかけないために18歳で家をでる。自活するために交番で働き、暇があると映画館に行った。好きな映画にイタリアのネオ・レアリスモ映画、小津映画、特にいらんのスフラブ・シャヒッド・サレスの『単純な出来事』を挙げている。また当時、ソフィア・ローレンの熱烈なファンでもあった。 1960年から68年にかけて多数のCF製作やポスターのグラフィック・デザインなど仕事を手がけると同時に劇映画のクレジット・タイトルのデザインを担当。その中にマスウード・キミヤイー監督の有名な『ゲイサー』(69)のタイトル・バックがある。また、絵本作家としても有名だった。 ‘68年に友人の依頼で、児童青少年知育協会(Institute for the Intellectual Development of Children and Young Adults)に入り、映画製作部を創設し、スタジオも設立する。この協会はその後、イラン映画の質の向上を著しく促進。キアロスタミ作品の他に、バハラム・ベイザイの『バシュー、小さな異邦人』(88)やアミール・ナデリの『駆ける少年』(86)『水、風、砂』(89)といった名作がここから生まれた。残念ながら、1994年この協会の映画制作部は活動を停止した。 『友だちのうちはどこ?』(87)『そして人生はつづく』(92)は日本で初めて劇場公開されたイラン映画だったが、キアロスタミ監督の存在、ひいてはイラン映画の質の高さが日本でも広く認知された記念すべき作品となった。続いて『クローズ・アップ』(90)、“ジグザグ道3部作”の最後を飾る『オリーブの林をぬけて』(94)(カンヌ国際映画祭正式出品)を発表。長篇としては3年ぶりの待望の新作となった『桜桃の味』(97)は‘97年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。それに続く『風が吹くまま』(99)は‘99年のヴェネツィア国際映画祭で審査員グランプリを受賞し、『ABCアフリカ』は2001年カンヌ国際映画祭に特別招待され、熱狂のうちに迎えられた。 ‘97年12月13にちにはユネスコからフェリーニ・メダルを受けた。 キアロスタミ監督が写真家であるのは、知る人ぞ知る事実。イランでは個展を開き、フランスで写真集を出版、パリでは写真展を開くなど活動を開催した。時には1週間もの写真旅行に出て、ひたすら光を待ちつづけるというキアロスタミ。監督自身が厳選した作品で構成される展覧会には、『風が吹くまま』の撮影現場近くの写真も盛込まれ、キアロスタミ監督の写真が直に見られる貴重な機会となった。