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セメントの記憶

3月23日(土)公開

天空の建設、地上の破壊
ベイルート。超高層ビルで働くシリア人移民労働者の受難

セメントの記憶

ベイルートはシリア人移民労働者にとって希望であり地獄である。
シリアと同じく長い内戦(75年―90年)を経験したベイルートは、近代建築と歴史的建造物が混在した美しい街並みで多くの観光客を魅了しているが、建設ブームに沸く海岸沿いは超高層ビルの乱開発が進んでいる。内戦で家を奪われた多くのシリア人は、これら建設現場の劣悪な環境で労働を強いられている。

中東のパリ、ベイルート。地中海を眺望する超高層ビルの建設現場でシリア人移民・難民労働者たちは静かに働いている。ある男が、出稼ぎ労働者だった父がベイルートから持ち帰った一枚の絵の記憶を回想する。絵には白い砂浜、青い空、そして2本のヤシの木が描かれていた。男が少年の頃初めて見た海の記憶だ。待ち焦がれていた父の帰還に少年ははしゃぐ。顔を撫でてくれた父の手はセメントの味がした。父は少年に語った。「労働者は戦争が国を破壊し尽くすのを待っているんだ」。男は異国で父への想いを巡らせる――。戦争と建設のイメージ。破壊と創造の概念。喪失と悲しみの記憶を詩的情緒豊かに紡ぐ圧倒的な映像美は、自らが生きている世界と同じ地平の中に傷ついた人たちがいることを伝える。祖国を亡命した若き元シリア兵のジアード・クルスーム監督が果敢に創り上げた革新的ドキュメンタリー作品。

監督:ジアード・クルスーム
2017年/ドイツ、レバノン、シリア、カタール、アラブ首長国連邦/DCP/88分/配給:サニーフィルム

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