パフォーマンス・アート:身体と空間をめぐる映画祭
8月1日(土)公開
パフォーマンス・アートシーンを創造し、革新してきた先駆者たちのドキュメンタリー4プログラム5作品
全作品日本劇場初公開!
パフォーマンス・アートは、伝統的な芸術観の否定と過激な実験精神に端を発した20世紀前半の前衛芸術運動(未来派、ダダ、シュルレアリスム、構成主義、バウハウスなど)を源流とした出自と、「一回性の表現」を残す難しさから、長らく美術界の主流から外されていた。しかし、現代美術の国際的祭典として最新の動向を世界に発信するヴェネチア・ビエンナーレでパフォーマンス・アート作品が金獅子賞(最高賞)を連続で受賞するなど、近年パフォーマンス・アートが芸術祭で表彰される機会も増え、このジャンルに注目が集まっている。
パフォーマンス・アートは身体を核としながら、文学、演劇、戯曲、音楽、建築、詩、映画など、あらゆる表現媒体を縦横無尽に横断する、融通無碍、不確定性のアートである。そして、不定形であるがゆえに、時代の先端にあるメディアやテクノロジーも積極的に取り込みながら、根源的な生々しい感情や、その時代に存在する社会への問いを表現する。
本映画祭では、振付師、舞踊家として、ダンスに革命をもたらしたマース・カニングハムの生誕100年を記念して作られたドキュメンタリー『カニングハム』、パフォーマンス・アートやフェミニズム・アートの先駆者として、現代の身体芸術やジェンダー表現に多大な影響を与えたキャロリー・シュニーマンのドキュメンタリー『ブレイキング・ザ・フレーム』、名匠シャンタル・アケルマンが、コンテンポラリー・ダンスの巨匠ピナ・バウシュ率いるヴッパタール舞踊団の欧州ツアーに同行して作り上げたドキュメンタリー『ある日、ピナは尋ねた…』、ドイツ・バウハウスの舞台工房を率いたオスカー・シュレンマーが考案した舞台を再現した古いフィルムから、彼の思想や影響を再解釈した短編『ピンク・シュレンマー』、そして、“ビデオ・アートの父”と称されるナム・ジュン・パイクのパフォーマンス映像や手記などを紐解きながら、彼の生涯に迫ったドキュメンタリー『ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV』 の5作品(4プログラム)を一挙上映する。いずれも日本での劇場公開は初。(※『ブレイキング・ザ・フレーム』、『ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV』 、短編『ピンク・シュレンマー』は日本初公開)
[Program A]
『カニングハム』 ★日本劇場初公開
ダンスの概念を根本から再定義した革命家マース・カニングハム。「音楽と振付は独立して存在する」という画期的な哲学や、偶然性を振付に取り入れる手法などにより、ダンスの新領域を切り開くパフォーマンスで世界に衝撃を与えてきた。本作は彼の生誕100周年を記念し、活動の軌跡を追ったドキュメンタリー。未公開のアーカイブ映像を通して、彼の哲学や肉声に触れ、生涯のパートナーであった前衛音楽の巨人ジョン・ケージや、ロバート・ラウシェンバーグ、アンディ・ウォーホルら20世紀を代表する芸術家たちとの協働の裏側に迫る。そして、無名だった1942年から名声を確立する1972年までの約30年間に生み出された14の代表作を現代のダンサーたちが再演。ビルの屋上や深い森の中など、規格外のロケーションで、空間と身体が躍動する。
監督・脚本・編集:アラ・コフガン
撮影:ムコ・マルハシアン 音楽:フォルカー・ベルテルマン
出演:マース・カニングハム、キャロリン・ブラウン、ジョン・ケージ、アシュリー・チェン、ロバート・ラウシェンバーグ
☆2023年イタリア賞(テレビ・パフォーミングアーツ部門)受賞、2019年バーデン=ヴュルテンベルク映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞、2019年ハンプトンズ国際映画祭ゴールデン・スターフィッシュ賞特別賞
2019年/ドイツ、フランス、アメリカ/93分/カラー/原題:Cunningham
[Program B]
『ブレイキング・ザ・フレーム』 ★日本初公開
パフォーマンス・アートやフェミニズム・アートの先駆者として50年以上にわたり活動し、現代の身体芸術やジェンダー表現に多大な影響を与えたキャロリー・シュニーマン。本作は、その生涯と芸術世界を実験的なアプローチで描いたポートレート・ドキュメンタリー。抽象画家としてキャリアを開始した彼女は、やがて自らの身体を素材として用い、1975年にフェミニズム・アートにおける極めて重要で過激なパフォーマンス≪Interior Scroll(体内の巻物)≫を発表。女性への身体的抑圧に抵抗した作品群は、男性優位の美術界で女性のセクシュアリティや肉体性を生々しく提示し、世間に大きな衝撃を与えた。タブーに挑み続けたシュニーマンが感じた孤独や怒り、作品にかける情熱が、彼女の作品記録や絵日記、そして彼女の語る言葉によって浮き彫りになる。
監督・脚本・撮影:マリエル・ニトスラウスカ
編集:モニーク・ダルトン
出演:キャロリー・シュニーマン、ジェームズ・テニー
2012年/カナダ/101分/カラー/原題:Breaking the Frame
[Program C]
『ある日、ピナは尋ねた…』 ★日本劇場初公開
ドイツ表現主義舞踏の流れを汲み、ダンスと演劇を融合した“タンツテアター”を現代に確立した、コンテンポラリー・ダンスの巨匠ピナ・バウシュ。本作は、映画史に名を刻む名匠シャンタル・アケルマンが、バウシュ率いるヴッパタール舞踊団の欧州ツアーに同行して作り上げたドキュメンタリー。説明的な手法を最小限に抑え、アケルマンの特徴である静謐な固定カメラと長回しを中心に構成。『コンタクトホーフ』や『カーネーション』といったバウシュの代表作の断片とともに、リハーサル時のダンサーたちの身体の躍動や息遣いや、舞台裏の何気ない時間が切り取られている。タイトルの『Un jour Pina a demandé...(ある日、ピナは尋ねた…)』は、バウシュがダンサーに個人的な質問や課題を与え、そこから動きを引き出していく独自の振付手法に由来する。
監督:シャンタル・アケルマン
撮影:リュック・ベナムー、バベット・マンゴルト 編集:ドミニク・フォルジュ、パトリック・ミモーニ
出演:ピナ・バウシュ、シャンタル・アケルマン、ヤコブ・アナセン、アンヌ=マリー・ベナティ、ベネディクト・ビリエ、市田 京美
1983年/フランス、ベルギー、ドイツ/58分/カラー/原題:Un jour Pina a demandé...
[Program C]
『ピンク・シュレンマー』 ★日本初公開
2024年、トロントのゲーテ・インスティトゥートの保管庫から『マン・アンド・マスク:オスカー・シュレンマーとバウハウスの舞台』の古いプリントが発見された。1969年に制作されたこの作品は、1925年頃にバウハウスでオスカー・シュレンマーが試みた前衛的な舞台・ダンス作品を再現し映像として記録した作品で、フィルムは経年劣化で鮮やかなピンクとマゼンタに染まっていた。本作はこの華やかな色調を手がかりとし、パフォーマンス・アートの源流の一つして位置付けられるバウハウスの舞台工房を率いたシュレンマーのダンス、舞台表現、思想、そしてその影響を再解釈する。
監督・撮影・編集・アニメーション:オリバー・フサイン
出演:タンヴィール・アラム
2025年/カナダ/12分/カラー/原題:Pink Schlemmer
☆第76回ベルリン国際映画祭フォーラム・エクスパンデッド部門上映作品
[Program D]
『ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV』 ★日本初公開
“ビデオ・アートの父”と称されるナム・ジュン・パイク。彼はアートとテクノロジーの境界を破壊し、インターネット普及のはるか前にデジタル社会の到来を予見した。本作は、彼のパフォーマンス映像や手記(俳優スティーヴン・ユァンによる朗読)などの膨大なアーカイブを紐解きながら、韓国から日本、ドイツ、アメリカへと渡り歩いた彼の生涯と、先駆的な活動やビジョンに迫る。彼が生み出した人々の想像を超えるアートがいかにして当時の大衆文化と交差したかが描かれるとともに、彼の人生を変えたジョン・ケージとの出会い、ヨーゼフ・ボイスやシャーロット・モーマンらとの過激なコラボレーションなど、フルクサスをはじめとした60年代から70年代にかけてのパフォーマンス・アートのムーブメントとの深い関わりも浮き彫りとなる。
監督:アマンダ・キム
撮影:ネルソン・ウォーカー 編集:タリン・グールド テーマ音楽:坂本龍一
出演:ナム・ジュン・パイク、スティーヴン・ユァン(朗読)、ジョン・ケージ、ヨーゼフ・ ボイス、シャーロット・モーマン、マリーナ・アブラモヴィッチ、久保田成子
2023年/アメリカ/110分/カラー/原題:Nam June Paik: Moon Is the Oldest TV
☆サンダンス映画祭2023正式出品、2023年MoMA Doc Fortnight選出、2023年ガーディアン誌ベスト映画
企画・配給:トレノバ

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予告編
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公式サイト
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公開日
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上映時間
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入場料金
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前売券情報
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イベント情報
8月1日(土) 14:50『カニングハム』上映後
ゲスト:平倉圭さん(芸術理論家)、砂連尾理さん(振付家・ダンサー)
